3話 似すぎた志望理由

弁当箱の留め具から指を離したあとも、僕の手はしばらくその形を覚えていた。

銀色の金具。閉じるときの小さな抵抗。最後に鳴る、かちりという音。

それは朝から何度も僕の中に戻ってくる。母が玄関で蓋を押さえたときも、待機室でひよりが水を置いたときも、澪が受付票を拾ったときも、何かが閉じる音ばかり聞いている気がした。

逆に、開いたものはほとんどなかった。

面接カードの志望理由欄も、僕の口も。

面接カードを机の上へ戻す。白い紙の表面には、照明の反射が細長く伸びていた。志望理由の欄は、何度も消しゴムをかけたせいで、周囲の紙より少し毛羽立っている。鉛筆の跡が薄く残り、書き損じた言葉の影だけが、空白の下に沈んでいた。

僕はペンを持った。

書くつもりはなかった。ただ、持つだけならできる。

ペン先を紙へ近づけ、触れる前に止める。文字を書く直前のこの距離が、いちばん長い。声に出す前に唇だけで原稿をなぞるときと同じだった。まだ自分のものではない言葉を、口の中で何度も転がしている。

僕のカードには、活動実績の欄にこう書かれている。

生徒会活動、放送部での校内放送、地域連携ボランティアへの参加。

その下に、志望理由として、途中まで残った一文がある。

地域の方々の声を聞き、必要な情報を整理して発信することで、地域と学校の距離を縮めたい。活動を通して、私は――

そこから先がない。

私は、何を学んだのか。

誰かの声を届けることの大切さ。

その言葉は、何度も先生に見せた。母にも見せた。ひよりには見せていない。見せたところで、たぶん「蒼が書いた顔をしてない」と言われる気がしたからだ。

ふと、隣で紙が擦れた。

澪が自分の面接カードを開いていた。

彼女はまずカードの四隅を確かめ、それから中央に指を置いた。紙を押さえる指先に力が入っている。きれいに整えられた爪の先が白くなっていた。

僕は見ないようにした。

見ないようにしたのに、視界の端へ文字が入った。

生徒会活動。

地域連携ボランティア。

必要な情報を整理して発信する。

僕のカードにある言葉と、ほとんど同じだった。

最初は、よくある言葉だと思った。推薦入試の面接カードなら、地域、活動、発信、貢献。似た単語が並ぶのは珍しくない。学校の進路指導で配られた資料にも、そういう言葉は何度も出てきた。

だから、見間違いだと思えばよかった。

けれど、最後に残っていた一行を見たとき、呼吸が止まった。

誰かの声を、届く形にしたい。

僕のカードに書かれているのは、「誰かの声を届けたい」だった。

助詞が違う。語尾も違う。

それでも、意味は同じだった。

空調が低く唸っている。掲示板の紙が揺れている。遠くで誰かが椅子を引いた。音はすべて聞こえているのに、僕の意識だけが、澪のカードの上に取り残されていた。

「……それ」

声が掠れた。

澪は顔を上げなかった。

「何か」

「志望理由」

「見れば分かるでしょう」

「いや、そうじゃなくて」

僕は一度、息を飲み込んだ。口の中に残ったミントの冷たさが、喉の奥で急に強くなる。

「その最後のところ。誰かの声を、届く形にしたいってやつ」

「読んだの?」

「見えた」

「なら、そう書いてあるわね」

「僕も似たことを書いてる」

「そうでしょうね」

予想していた返事と違った。

僕は澪を見た。彼女はカードから目を上げ、僕をまっすぐ見返している。驚いているようには見えない。むしろ、いつかこの話になることを知っていたような顔だった。

「知ってたのか」

「あなたのカードを見たから」

「いつ」

「最初に原稿を出したとき」

「そのときは、志望理由の欄を見てなかっただろ」

「見ていないふりをしただけ」

僕は言葉を失った。

澪は面接カードの端を指で撫でた。紙の毛羽立ちを確かめるような動作だった。

「あなたの活動実績は、放送部と生徒会。それに地域連携ボランティア。私のものと似ている。最後に書いた言葉も似ている。偶然だと思う?」

「知らない」

「あなたは、偶然だと思いたい?」

返事の前に、また喉が動いた。

僕はそうしたかった。偶然であってほしかった。そうでなければ、敵だと思っていた相手が、自分と同じ場所に立ってしまう。去年の発表会で、僕の言葉を奪った側にいるはずの人間が、僕と同じ理由でここに来ていることになる。

それは、去年の出来事を否定することとは違う。

けれど、僕が澪を敵として保つために必要だった境界を、薄くしてしまう。

「同じ言葉を使ったからって、同じ夢だとは限らない」

ようやく言った。

「その通りね」

「活動だって、学校の実績として書いただけかもしれない。地域連携ボランティアに参加した。生徒会で企画をした。そういうのを並べれば、推薦ではそれらしく見える」

「あなたは、私がそれらしく見せるために書いたと思っているの?」

「そうは言ってない」

「言っているのと同じよ」

澪の返しは冷たかった。けれど、その冷たさの下に、わずかな震えがあった。

僕はそれを聞き逃さなかった。声が震えたわけではない。語尾が一音ぶんだけ硬くなり、最後の母音が短く切れた。怒っているときの声というより、怒らないように押さえている声だった。

「じゃあ、何のために書いた」

「何のため、という問い方が、もう少し乱暴だわ」

「面接前に言葉の使い方を直すなよ」

「直さないと、話が違う方向へ行く」

「違う方向でいいだろ。ここは文芸部の添削会じゃない」

「そうね。だから、あなたの言葉を添削したいわけではない」

「でも、いつも直そうとする」

「あなたが雑だから」

「僕が?」

「あなたは、怒っているときほど言葉を削る。削って、相手が分かると思い込む。分からない部分を相手が補うことまで、伝える側の責任だと思っている」

「それは……」

「違う?」

違うと言い切れなかった。

僕は人の話を聞くとき、相手が言わなかったことまで拾おうとする。誰かが放送原稿を読んでいて詰まれば、その原因を考える。声の速度、息継ぎ、語尾の落ち方。そこから相手の伝えたいことを推測する。

けれど、自分が話す側になると、相手が察してくれることを前提にしてしまう。

察してほしい。でも、聞き返されたくない。

その矛盾を、澪は正面から見ていた。

「おまえだって、同じじゃないか」

僕は低い声で言った。

「言葉を選びすぎて、何を言いたいのか分からなくなる。正確にしようとして、相手に届く前に閉じる。さっきからずっと、そうやってカードを押さえてる」

澪の指が止まった。

「……よく見ているのね」

「見える位置にあるから」

朝、澪に返した言葉をそのまま使った。

澪は一瞬だけ目を伏せた。口元に笑いが浮かんだわけではない。ただ、僕の言葉がどこかへ刺さったのだと分かる程度に、睫毛が揺れた。

「真似をしている?」

「悪いか」

「別に。少し、腹が立つだけ」

「それはお互いさまだろ」

「そうね」

澪はカードを僕との間へ少しだけ寄せた。

「私は、地域連携ボランティアを実績として書いたわけではない」

「じゃあ何だ」

「最初は、実績として書こうとした」

彼女は一拍置いた。

「文芸部の部長として、地域の方へ文章の案内を作った。商店街の催しを紹介する文章を書いた。聞き取りをして、情報を整理して、分かりやすい形に直した。そういう活動を並べれば、面接官が評価しやすいと思った。私は、評価される文章を書くことに慣れていたから」

「慣れていた?」

「部長だから。翠陵の文芸部部長だから。そう言われるたびに、私は正しい答えを返す必要があった。部員の前で迷ってはいけない。学校の代表として、言葉を間違えてはいけない。誰かが書いた文章を紹介するときも、私の説明で価値が下がらないようにしなければいけない」

澪の声は静かだった。

静かなまま、ひとつずつ言葉を重ねていく。きれいに並んだ文章なのに、そこには書き直した跡が見えた。言い切るたび、次の言葉へ進む前に、わずかな空白がある。

「そうしているうちに、何を言っても部長の言葉になる。私が本当にそう思っているのか、部長として言うべきだから言っているのか、区別がつかなくなった」

「それで、誰かの声を届けたいと書いたのか」

「違う」

「違う?」

「それも、最初はきれいだから書いた」

澪はそこで初めて、カードから目を上げた。

「誰かの声を届けたい。誰かを支えたい。言葉で地域に貢献したい。そういう表現は、間違っていない。間違っていないからこそ、危険なの。間違っていない言葉は、誰の口にも入る。誰の志望理由にもなる。私が書いたのか、学校が書かせたのか、部長としての私が書いたのか、分からなくなる」

僕のカードの白い空白が、急に重くなった。

僕も同じだった。

誰かの声を届けたい。

その言葉は間違っていない。放送部で原稿を読むとき、実際にそう思うこともある。地域の人から話を聞き、必要な情報を放送するとき、声が届くことの意味を考えたこともある。

けれど、面接カードに書いた瞬間、その言葉は制服のようになった。僕が着るためのものなのか、僕に着せられたものなのか分からない。

「じゃあ、消せばいいだろ」

僕は言った。

「その言葉も、活動も、全部。自分のものじゃないなら」

「消したら、何が残るの?」

澪の問いは、思ったより近かった。

「……知らない」

「あなたもでしょう」

彼女の指先が、志望理由欄の空白を押さえる。

「だから、そこが空いている」

僕は自分のカードを見た。

白紙の欄。そこにあるのは、未完成の証拠ではなく、言葉を置くことを拒んだ跡にも見えた。書けなかったのではなく、書いた言葉を自分のものだと認められなかった。

澪のカードにも、同じような空白がある。

彼女の文章は僕のものより長く、語句も整っていた。それでも最後の一行には、何度も書き直した跡が残っている。濃い線の下に、薄い線が何本も重なっていた。

「白石」

名前を呼ぶと、澪の肩がわずかに揺れた。

「何」

「おまえも、書けてないんだな」

澪はすぐに否定しなかった。

その沈黙は長かった。空調の音が、沈黙の底をゆっくり撫でている。ひよりが少し離れたところでペットボトルを回している音まで聞こえた。彼女はこちらを見ているようで、見ていない。たぶん、見ないことを選んでいる。

「書けていないというより、書いたものを信じられない」

澪は言った。

「どちらも、似ているわ」

「似てる?」

「空白になる理由が違って見えるだけで、結果は同じ。紙の上に、自分の名前を置けない」

胸の奥で、何かが小さく崩れた。

僕は澪を、すでに自分の言葉を持っている人間だと思っていた。文章を整え、面接の答えを組み立て、何を聞かれても正確に返せる人間。僕が何度も書き直して消したものを、彼女は最初から持っていると思っていた。

でも、彼女の指先も震えている。

わずかに押さえすぎた紙の端。傾いた赤いネクタイピン。何度も整え直す背筋。

完璧に見えるものは、崩れないのではなく、崩れるたびに戻しているだけなのかもしれない。

「蒼」

ひよりが僕を呼んだ。

僕は反射的に顔を上げた。ひよりはミントタブレットの小箱を閉じ、こちらへ向けていた。

「今、ふたりで面接カードを見せ合ってるけどさ」

「見せ合ってない」

「見せ合ってるように見えるよ。紙の角が、仲良く近づいてる」

「紙の話をするな」

「紙は悪くないでしょ」

ひよりはそう言いながら、僕のカードの端に落ちた消しゴムのかすを指で払った。触れたのは僕の紙だけで、澪のカードには手を出さない。その距離の取り方が、ひよりらしかった。

「同じ言葉を書いても、同じ理由とは限らない。でも、違う理由で同じ言葉にたどり着くことはあるんじゃない?」

「それは、きれいにまとめすぎだろ」

「蒼がきれいにまとめるのを嫌がるときって、だいたい自分も同じことを考えてるよね」

「……」

「ほら、黙った」

言い返せなかった。

ひよりは、僕を見つめすぎない。視線をカードへ落とし、机の端を指先で軽く叩いている。僕が答えを探す時間を、奪わないための動作だった。

澪が口を開いた。

「小野寺さん」

「ひよりでいいよ。たぶん、今日一日くらいなら」

「では、ひよりさん。あなたは、誰かの声を届けたいと思わないの?」

「思うよ」

「簡単に答えるのね」

「簡単じゃないけど、今ここで難しくする必要もないかなって」

「あなたは、言葉を選ばないの?」

「選ぶよ。でも、選びすぎて何も渡せなくなるのは嫌い」

「雑な言葉で誰かを傷つけるかもしれない」

「傷つけるかもしれないね。でも、傷つけないために何も言わなかったら、相手が一人で傷つくこともある。どっちが正しいかは、そのときにならないと分からない。だから私は、正しい言葉より、今その人が飲める水を渡したい」

ひよりはペットボトルを軽く持ち上げた。

「水を渡しても、喉が治るとは限らない。でも、渡さないよりはいい。蒼にも白石さんにも、それくらいの言葉なら置ける」

澪は答えなかった。

代わりに、赤いネクタイピンへ伸ばした指を、今度は途中で止めなかった。小さな金具をまっすぐに直す。けれど、完全には戻らない。わずかな傾きが残った。

僕はその傾きを見ていた。

以前なら、乱れていると思っただろう。部長らしくない、隙のある仕草だと。今は違った。直そうとしたことも、直しきれなかったことも、どちらも彼女の一部に見えた。

「僕は」

声を出してから、喉が詰まった。

ふたりがこちらを見る。

言葉を整えようとした。主語を置き、理由を置き、結論を置く。けれど、先に出てきたのは、準備していた文章ではなかった。

「僕は、誰かの声を届けたいって書いたけど、本当は、届けたかったんじゃなくて……」

息を飲み込む。

「届けられる人間だと、思われたかったのかもしれない」

言ってしまうと、胸の奥に隠していたものが、紙の上へ落ちたように感じた。

ひよりは何も言わなかった。

澪も、すぐには返さなかった。

空調の音が戻ってくる。誰かが咳をし、椅子が軋み、掲示板の紙が一枚だけ大きく揺れた。

僕は続けた。

「去年の発表会で、僕は何も言えなかった。原稿を作ったのは僕たちなのに、翠陵の案みたいに紹介されても、止められなかった。だから、そのあとずっと、今度は誰かに奪われない人間になりたいと思ってた。ちゃんと声を出せる人間だって、証明したかった」

言葉が長くなっていく。

「でも、証明する相手が誰なのか分からない。青嶺の先生なのか、部員なのか、母なのか、去年の壇上にいた澪なのか。それとも、何も言えなかったときの自分なのか。分からないまま、誰かの声を届けたいって書いた。そう書けば、僕が立派な理由を持っているように見えるから」

最後の部分は、ほとんど独り言だった。

僕はカードを見た。白い欄はまだ空いている。けれど、空白の形が少し変わった気がした。そこに書けない理由が、初めて自分の言葉で見えたからだ。

澪がカードを閉じた。

「私も、似ているわ」

その声は、朝より近く聞こえた。

「誰かの声を支えたいと書いた。でも、本当は、私が必要とされる場所を失いたくなかった。部長でいれば、文章を直す理由がある。誰かの言葉を整える理由がある。役に立っているふりをしていれば、自分が何を望んでいるのかを考えなくて済む」

澪は一度、口を閉じた。

「私は、言葉で誰かを支えたいのではなく、言葉を持っている人間だと思われたかったのかもしれない。そうでなければ、部長として前に立つ資格がない気がした」

彼女の声には、初めて明確な疲れがあった。

それでも背筋は伸びている。最後まで崩さないつもりなのだろう。だが、カードを押さえる指はまだ白い。

「だから、あなたの原稿を見たとき、腹が立った」

「僕の原稿に?」

「あなたの文章には、私が削ったものが残っていた。乱れていて、重くて、感情が先に立っている。でも、誰かに届こうとしていた。私はそれを、羨ましいと思った」

僕は澪を見た。

赤いネクタイピンが、照明の下で小さく揺れている。

「それで、感情が先に立ちすぎるって言ったのか」

「そう。あなたの言葉を直したかったのではなく、私のほうが正しいと確認したかった」

「ずいぶん正直だな」

「今、正直でなければ、何のためにここにいるのか分からないから」

僕は返事をする前に、いつものように息を飲み込んだ。

けれど、今回はそのまま吐き出した。

「僕は、まだおまえを許してない」

澪の目が揺れた。

「去年のことは、まだ納得していない。あの場で何も言えなかった自分も嫌いだ。でも、それとおまえが全部奪ったと決めつけることは、たぶん別なんだと思う」

言葉が途切れた。

ひよりが水のボトルを机の中央へ置く。僕と澪の間、二枚の面接カードの境目に、透明な水が立った。

澪はそれを見たあと、僕へ視線を戻した。

「私も、あなたに謝れば済むとは思っていない」

「謝らないのか」

「謝りたい。でも、何に対して謝るのかを、まだ正確に言えない。私が企画を奪ったのか。あなたが何も言えなかったことを、責任のように受け取ったのか。あの場で私が黙ったことか。全部なのかもしれない。でも、今ここで『ごめんなさい』だけ言えば、また整った言葉で終わらせることになる」

「……そうだな」

「だから、まだ言わない」

それは謝罪よりも不器用で、けれど誠実に聞こえた。

僕は受付票を鞄から取り出した。二十三番の紙は、汗を吸って端が波打っている。澪の二十四番は、机の上でまっすぐだった。

僕は自分の札を、澪の札の隣へ置いた。

紙と紙が触れた。

擦れる音は、朝に聞いたものと同じだった。けれど今は、刃が入る音には聞こえなかった。二枚の薄い紙が、互いの形を確かめるように重なっただけだった。

「似てるな」

僕が言った。

「何が」

「番号も、志望理由も」

「あなたの文章の重さまで似ているとは言わないで」

「そこは違うのか」

「違うわ。あなたのほうが、少し乱暴」

「おまえのほうが、少し面倒だ」

「それは認める」

澪はそう言って、初めてはっきり笑った。

ほんの短い笑みだった。すぐに消えたが、口元の形が変わるだけで、彼女の顔は思ったより幼く見えた。僕は見てはいけないものを見たような気がして、視線を面接カードへ戻した。

ひよりが、わざとらしく咳払いをする。

「はいはい。敵同士が同じ夢を見て、少し仲良くなったところで、紙をしまおうね」

「仲良くなってない」

「なっていないわ」

僕と澪の声が重なった。

ひよりは満足そうに頷いた。

「息ぴったり」

「違う」

また重なった。

今度は、ひよりが声を立てずに笑った。

待機フロアの奥で、次の受験生を呼ぶ声がした。掲示板の紙が風に揺れ、受付票の角がわずかに持ち上がる。

面接はまだ始まらない。

志望理由の空白も、去年の壇上の記憶も、僕の中から消えてはいない。澪を敵だと思った時間を、なかったことにするつもりもない。

ただ、僕の空白と彼女の空白が、同じ机の上に並んでいる。

その事実だけが、静かな部屋の中で、ひとつの小さな声になっていた。

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似すぎた志望理由 - 隣席の敵 - 誰でも作家life