第3話 写真館の古写真

資料庫を出たときには、駅前の空がすでに夕暮れへ傾いていた。

海から流れてきた霧が、線路の向こう側からゆっくりと町へ入り込んでいる。ホームの端は白くぼやけ、錆びた柵の向こうにあるはずの防波堤も見えない。潮の匂いだけが濃くなり、呼吸をするたび、喉の奥に細かな塩が残った。

「写真館へ行く」

榊原が言った。

「村瀬さんのところですか」

「ほかに写真館があるように見えるか」

榊原は歩き出した。小柄な背中が、霧の中で駅舎の古い柱と重なったり離れたりする。歩く速度は遅くない。膝が痛むと聞いていたが、それを駅に悟られたくないように、足取りだけは一定だった。

「写真に、何が残っているんですか」

「写真に残っているものは、写真に残っている」

「それでは答えになっていません」

「おまえは答えを急ぎすぎる。写真はな、撮った奴が見たものを全部残すわけじゃない。見たくなかったものを端へ追いやったり、暗くしたり、そもそも画面に入れなかったりする」

「村瀬さんが、そうした可能性がある?」

「可能性という言葉は便利だな。責任を持たずに、扉だけ開けられる」

駅前の通りへ出ると、商店街の店先に残っていた明かりが、霧の中で小さく滲んでいた。魚屋の軒下では、発泡スチロールの箱を洗う水が側溝へ流れている。古文具店の前には、色褪せたノートが束になって置かれていた。風に煽られた値札が、紙の端だけを何度も跳ね上げている。

写真館は、駅舎から二軒先にあった。

白い壁は海風でくすみ、入口の上に掲げられた「村瀬写真館」の文字も、半分ほど塗料が剥がれている。ガラス戸の内側には、入学式や結婚式、祭りの山車を写した写真が並んでいた。どの写真にも人がいる。笑っている人、緊張している人、撮られることを忘れて横を向いている人。けれど、写真と写真の間には、何も写っていない白い壁が長く残されていた。

私はその余白に目を止めた。

「何を見ている」

「写真ではなく、写真の間です」

「間に何がある」

「今は、わかりません」

榊原は鼻を鳴らした。

「わからんものを見つけるのは、おまえの仕事だ」

ガラス戸を開けると、乾いた鈴の音がした。

店内には、薬品と古い木材と、かすかに紅茶の匂いが混じっていた。カウンターの奥では、四十代後半ほどの女が、写真立ての角を柔らかい布で拭いている。細い指先が、ガラス面の四隅を順番に撫でていた。

彼女は私たちを見ると、すぐには顔を上げなかった。最後の一隅を拭き終えてから、写真立てを棚の中央へ戻す。その位置を一度だけ確かめ、それから笑った。

「榊原さん。今日は何か現像のご注文ですか」

「客を連れてきた」

「お客さまですか」

「役場の記録係だ」

女の視線が私の腕章へ移った。次に、靴へ落ちた。榊原と同じように、足元を見る癖があるらしい。

「早川透です。旧北岬駅の保存調査で、いくつか確認したいことがあります」

「村瀬由紀です。確認というのは、写真のことでしょうか」

「十年前の駅前の写真を見せていただきたいと思っています」

由紀は笑みを消さなかった。ただ、笑う前に息を吸う癖があるらしく、胸元が小さく動いた。

「ずいぶん昔の写真ですね」

「十年前です」

「昔、というほどではありません」

「記録を確認するには、時間の長さは関係ありません」

「そういう考え方の方が、最近は少なくなりました」

由紀はカウンターの下から薄いアルバムを取り出した。表紙は濃紺で、角が丸く擦れている。机の上に置く前に、彼女は布で表紙を拭った。榊原はその手元を見ながら、煙草を取り出した。火はつけず、指でゆっくりと揉み潰す。

「駅前を撮った写真なら、こちらです。町の行事や、廃止前の記録をまとめています」

由紀がアルバムを開くと、古い駅前が現れた。

今よりも店が多く、駅舎の壁には塗りたての白さがあった。ホームには人が立ち、改札口の前には自転車が何台も並んでいる。笑顔の集合写真もあれば、誰かが撮ったことを忘れたような、通りの端の写真もあった。

私は写真の角から見ていった。

台紙の糊は一度剥がされ、貼り直されている。写真の右下には、細い鉛筆で番号が振られていた。番号は連続していたが、一箇所だけ飛んでいる。

「この番号がありません」

「現像に失敗したものです」

「失敗した写真は、残さないんですか」

「残すこともあります。残さないこともあります」

「基準は?」

「見た人が、残すべきだと思うかどうかです」

由紀はそう言って、アルバムの次の頁を開いた。

そこに、失踪当夜の駅前を撮った写真があった。

写真は小さかった。駅前の道路と、ホームの一部。空は夜に近い灰色で、街灯の明かりが霧に滲んでいる。駅舎の切符売り場だけが白く浮き、その脇に、車両らしい黒い輪郭があった。

ホームの端には、誰かの肩が写っていた。

人物は背を向けている。顔は見えない。濡れた上着の肩口と、少しだけ傾いた首。その人物が駅舎の方を振り返っていることだけはわかった。

「撮影時刻は」

「夜の八時過ぎです」

「正確には」

由紀の指が、写真の台紙の端で止まった。

「現像台帳を確認すれば、記録があります」

「撮影時刻ではなく、現像時刻でしょう」

「写真館では、現像した時刻も大切です。撮影した時刻は、撮影した人間にしかわからないことがありますから」

「撮ったのは村瀬さんですね」

「父が撮ったものです」

「お父さまは、その夜に駅前へ?」

「台風が近づいていました。駅前の様子を記録するために、店の前から撮ったと聞いています」

「聞いています、というのは」

「私はその場にいませんでした」

榊原が低く咳をした。

「由紀、あんたはこの写真を何度も見てるだろう」

「仕事ですから」

「仕事なら、もっとまっすぐ説明しろ」

「まっすぐに見えるものだけが、まっすぐな記録とは限りません」

由紀は写真の表面に付いた細かな埃を、指の腹ではなく布の端で払った。強く擦れば印画紙の光沢が傷つく。彼女はその傷を恐れているようだった。

私は写真を持ち上げた。

「触れてもいいですか」

「四隅を持ってください」

「わかっています」

「すみません。癖なんです」

私は写真の四隅をつまみ、斜めに傾けた。夕方の光がガラス越しに差し込み、印画紙の表面に細い銀色の筋をつくる。その筋が、写真の中央を横切った。

車両の輪郭。  切符売り場の灯り。  振り返る人物の肩。

そして、車両と駅舎の間にあるはずの空間だけが、不自然に暗かった。

人物が一人、足りない。

私は写真の左端を見た。道路の白線は、駅舎の前で途切れている。車両の影はその線を越えて伸びているのに、影の途中だけが薄く欠けていた。

「この写真には、何人写っていますか」

由紀は一度、私の顔を見た。

「見える人数なら、一人です」

「見える人数ではなく、撮影された人数です」

「同じではありませんか」

「同じなら、写真の影は途切れません」

由紀は返事をしなかった。

店内の奥で、古い時計が秒を刻んでいた。カチ、カチ、と乾いた音がする。その音の間に、外を走る車のタイヤが濡れた路面を擦る音が混じった。

私は写真を台紙へ戻した。

「ネガを見せてください」

「ネガは保存中です」

「この写真の原板を確認したい」

「原板に何か問題があると?」

「写真の欠け方が、現像の失敗には見えません」

由紀の指が、カウンターの上に置かれたフィルム缶の縁を回り始めた。金属の小さな音が、時計の音と重なる。

「失敗ではありません」

「では、何ですか」

「写真には、写るものと写らないものがあります」

「光量の問題ですか」

「それだけではありません」

「レンズの汚れ、露光不足、現像液の温度、印画紙の劣化。どれも写らない理由になります」

「ええ。あなたは詳しいんですね」

「詳しくはありません。記録に残る条件を確認しているだけです」

「写真を、数字のように扱うんですね」

「写真も記録です」

由紀は薄く笑った。

「記録は、保存する人の手を通ります。写真も同じです。撮る人、現像する人、焼き付ける人、台紙に貼る人。誰か一人でも順番を変えれば、残るものの形は変わります」

「つまり、この写真は加工されている」

「加工という言い方は、少し乱暴です」

「事実を変えたのなら、加工です」

「事実を変えたのではありません。見える形へ整えたのです」

その言葉は、片桐の保守台帳を思い出させた。整える。揃える。問題のない形へ戻す。けれど整える前には、必ず整っていない現実がある。

「何を整えたんですか」

由紀は答えなかった。

私は写真をもう一度、斜めに傾けた。光の筋が移動し、暗部の境目が浮かぶ。写真の右端に、細い縦線があった。印画紙の傷ではない。焼き付けの境界にできる、わずかな濃度差だった。

「ここに、別の紙を重ねていますね」

由紀の手が止まった。

「どうしてそう思うんです」

「焼き付けの境界があります。隠した部分の周囲だけ、光が回り込んでいる。覆いを置いて焼いたか、あとから部分的に露光した」

「あなたは、そこまで写真に詳しくないと言いました」

「詳しくないから、見えたものを順番に確認しています」

榊原が低く言った。

「由紀。もうやめろ」

「何をですか」

「写真を守るふりをして、写ってないことにするのをだ」

由紀は榊原を見た。その目には怒りがなかった。長いあいだ同じ場所に置かれて、紙の中へ湿気が染み込んだような疲れがあった。

「榊原さんは、駅を守っているつもりですか」

「余計なことを言うな」

「駅を残すことと、駅で起きたことを残すことは、同じではありません。建物だけをきれいにしても、そこで誰かが帰れなかった事実までは、錆びません」

「深町のことを言っているのか」

由紀は視線を落とした。

私はその名前を聞いたことがなかった。いや、聞いていた。資料庫で、榊原が口にした名前。深町直人。最後に切符を扱った駅員。駅ノートに「待っています」と残したかもしれない人。

「この写真に、深町さんが写っているんですか」

由紀はすぐに答えなかった。

写真を持つ私の指先に、紙のざらつきが伝わってきた。印画紙は乾いているのに、表面の一部だけがわずかに冷たい。古い写真を保存箱から出したときに感じる冷たさとは違う。最近、誰かの手で何度も扱われた冷たさだった。

「写っているかどうかは、顔が見えなければ判断できません」

「服装や姿勢なら」

「人は、服装や姿勢だけでは決まりません」

「では、何で決まるんですか」

「その人を、誰がその人だと認めるかです」

由紀の声は柔らかかったが、そこには拒む硬さがあった。

「父は、撮った写真をすぐには現像しませんでした。台風の夜は停電が多くて、店の暗室も使えなかった。だから、撮影した翌朝に現像したと聞いています。でも、この写真の現像時刻は、その夜のうちになっている」

私は台紙の隅に印刷された日付を見た。

「現像台帳と合いませんね」

「台帳は、あとから書き直されています」

「誰が」

「父かもしれません。私かもしれない。あるいは、別の誰かが頼んだのかもしれません」

「村瀬さんは、何を覚えていますか」

由紀はフィルム缶から手を離した。

「覚えているのは、写真ではありません。写真を見た人たちの顔です」

「町の人ですか」

「朝になって駅前に集まった人たち。誰も写真を見たがりませんでした。見たのは、役場の人と、榊原さんと、父だけです。父は何も言わず、写真の一部を焼き直しました。暗いところを明るくし、明るすぎるところを落とした。そうすると、車両の輪郭と、ホームの肩だけが残った」

「残らなかったものは?」

「残らなかったのではありません」

由紀は写真を裏返した。台紙の裏には、薄い鉛筆で日付と時刻が書かれている。その下に、消しゴムで何度も擦った跡があった。

「残さなかったんです」

「なぜですか」

「見たら、誰かが困るからです」

「誰が」

「町の人です。役場の人。駅にいた人。そして、深町さん」

最後の名前だけ、彼女はひどく小さな声で言った。

私は写真を表へ戻した。

「深町さんは、写っていたんですか」

由紀は長く息を吐いた。

「写っていた、という言い方はできません」

「では、写っていなかった?」

「それも違います」

「写真にいるのか、いないのか、どちらですか」

「写真は、そこにいた人間を全部同じ重さで残すものではないんです。人影が写っていても、その人がそこにいたと証明できるとは限らない。逆に、何も写っていない場所に、その人がいた時間だけが残ることもある」

「それは答えを避けています」

「ええ。避けています」

由紀は初めて、はっきりと認めた。

「私は、十年前に避けました。写真の説明を少し変えました。撮影時刻を曖昧にしました。原板にあった影を、焼き直すときに薄くしました。けれど、写真を捨てることはできなかった」

「守ったんですか」

「何を守ったのかは、今でもわかりません。父の店かもしれない。駅前で暮らす人たちかもしれない。深町さんの名前かもしれない。記録を残すことが誰かを傷つけるなら、残さないほうがいいと思った。でも、捨ててしまえば、あの夜が最初からなかったことになる」

由紀は写真の四隅を整えた。

「写真は真実を閉じ込めるものではありません。真実の周りに、欠けた形を残すものです。だから、写っていない部分を見ない人には、ただの暗がりにしか見えない」

「私には、暗がりの縁が見えます」

「あなたは、縁ばかり見ていますね」

「角と端を先に見る癖があります」

「それは、いい癖です。真ん中だけを見ていると、誰かに切り取られたあとだと気づけませんから」

由紀は立ち上がり、店の奥へ向かった。遮光カーテンを半分だけ閉める。外の霧がガラス越しに白く流れ、店内の光が少しだけ暗くなった。

「原板を見せます」

榊原が顔を上げた。

「由紀」

「全部は見せません」

「それでは意味がない」

「全部を見せることが、いつも正しいとは限りません」

「おまえまで片桐みたいなことを言うな」

由紀は振り返った。

「片桐さんは、書類を整えて何もなかったことにする人です。私は、何かあったことだけは残したい。そこは違います」

「違うと思っているうちはな」

榊原の声は荒かった。けれど、由紀へ向けた怒りというより、自分自身に向けた叱責に近かった。

由紀は奥の引き出しから、薄い封筒を取り出した。封筒の口は一度開けられ、別の糊で閉じられている。表面には番号があった。

私はその番号を見て、指を止めた。

今日の切符の券番と、末尾の二桁が一致していた。

「この番号は」

「ネガの管理番号です」

「今日の日付の切符と同じです」

「偶然でしょう」

「偶然にしては、数字の並びが近すぎます」

「写真館では、古い番号をそのまま使うことがあります。新しい番号を振ると、過去の記録と混ざりますから」

「では、このネガは十年前のものですか」

「そうです」

「なぜ、今日の切符と同じ番号が」

由紀は答えなかった。

榊原が封筒を見て、低く言った。

「その切符、誰かが古い番号を使って作ったんじゃないか」

「村瀬さんが?」

「俺は聞いているだけだ」

「私も、聞かれたことに答えているだけです」

由紀は封筒をカウンターへ置いた。指先で端を揃える。その仕草は深町の帳簿の端を揃える手つきと似ていた。

「早川さん。写真を記録に使うなら、写っているものだけを書かないでください」

「写っていないものも、ですか」

「ええ。写っていない理由を書いてください。誰かが隠したのか、光が足りなかったのか、撮る人が目をそらしたのか。それがわからないままなら、わからないと記録するんです」

「村瀬さん自身は、何を見たのかわからないんですか」

「わかっています」

由紀はそう言ってから、すぐに目を伏せた。

「わかっているから、言えないんです」

店の外で、風鈴が鳴った。

音は霧の向こうへ細く伸び、途中で消えた。由紀は封筒を引き出しへ戻そうとしたが、私はその前に、封筒の縁へ残る黒い擦れを見つけた。ネガ袋の紙質とは違う。駅の切符売り場にあった木箱の角に付着していた黒ずみと、よく似ている。

私はメモ帳を開いた。

写真館のネガ番号。  今日の切符の券番。  同じ末尾二桁。  失踪当夜の車両。  欠けた影。  現像時刻のずれ。

由紀は私の書く音を聞いていた。

「何を書いているんですか」

「確認できたことです」

「まだ、確認できていないことも書いていますね」

「確認できていないことは、別の欄に書きます」

「そういうところが、深町さんに似ています」

私は顔を上げた。

由紀は自分の言葉に気づいたように、口を閉じた。店の奥にある暗室の扉が、湿気で膨らんだ木の重さに耐えかねるように、わずかに軋んだ。

「深町さんに会ったことがあるんですね」

「駅員でしたから」

「それだけですか」

「それ以上のことを言う必要がありますか」

「記録には必要です」

「記録に必要なことと、人が言えることは同じではありません」

私は反論しなかった。

由紀の指が、封筒の端を撫でている。そこに残された擦れを消そうとしているのではなく、消えないことを確かめているように見えた。

私は写真の中の欠けた影を思い出した。

写っていないものは、何もないのではない。そこにあったものを見せないために、誰かが光を選び、紙を選び、言葉を選んだ結果として残る。写真は沈黙する。けれど沈黙にも輪郭がある。

帰り際、由紀は例の写真を封筒へ戻した。

「原板は、明日なら見せられます」

「明日、何か変わりますか」

「変わらないように保管します」

「誰かに持ち去られる可能性は?」

由紀は、ほんの一瞬だけ店の奥を見た。

「この町では、記録は盗まれません」

「では、どうなるんですか」

「持ち主の手元で、別の意味にされます」

榊原が先に戸口へ向かった。私は由紀へ礼を言い、写真館を出た。

外の霧はさっきより濃くなっていた。駅舎の灯りが、通りの向こうで白い四角形になっている。由紀の店のガラスには、私と榊原の姿が映っていた。二人の間に、誰もいない空間がある。

私は足を止めた。

その空間だけ、ガラスの表面に細い水滴が縦に流れていた。人影のようにも、切れた影のようにも見えた。

「どうした」

榊原が振り返る。

「写真に、もう一人いたように思います」

「写真は見ていないだろう」

「ガラスに映ったものです」

「見えたものを、すぐ記録にするな」

「なぜですか」

「見えたものには、おまえの目も混じる」

私はメモ帳を閉じかけた。

けれど、閉じる前に一行だけ書いた。

村瀬写真館のネガ袋に、今日の切符と同じ末尾の番号がある。

その下には、まだ確かめられないことを書いた。

写真から欠けている人物は、深町直人かもしれない。

駅へ戻る道の途中、霧の向こうで何かが鳴った。列車の音ではなかった。空の線路を風が渡り、錆びた金属を一度だけ擦った音だった。

旧北岬駅の切符売り場では、今日の日付の切符が、誰もいないガラスの奥で白く浮かんでいるはずだった。

その切符が、誰の帰路を示しているのか。

私はまだ知らなかった。

ただ、写真に写らなかったものと、切符に残された日付が、同じ方向を指していることだけはわかり始めていた。

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